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愛するミギョンから電話があった
彼女はいつだかの、
コロニアルクラブ主催のパーティで知り合って、
その後わたしのほうからアプローチをかけ、
去年のキャバレー未完成企画においては
なんとホステス役で参加もしてくれた、
長い黒髪に高い頬骨をもつ韓流美人
*
うつくしい丘陵の田園地域を走る
- 傾斜、防風林、田畑、森、遠景の峰々 -
ここに近い将来、
のぞまれて新幹線が通るなら
この風景はきっとすっかり壊されてしまうのだろう
いったんバイパスが開通してしまうと旧道は、
車がほとんど通らなくなって、
なんだかやたらと環境がイイ
*
ミギョンがその地域の
わたしもすごく気に入っている、
完全無農薬農園をホストファミリーに持ち、
期間終了後も付き合いを続け、
週末はのんびり手伝ったりしているという
彼女にひと目会いに
*
ふだんの行動にともなう疲労解放、
もしくは心頭滅却、
、、などのためのジムや田園ドライブ、
そういった自己放擲方法を合間に駆使
したりしているなか、
ミギョンに会うのはすてきだとおもった
農場のカフェで、午後
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太鼓橋の天辺に
ひと組の異形種カップルが腰掛けて
山を見ているのを
いったんは横目でやり過ごしたものの、
しばらく走ってからUターンして天辺へ戻り、
車を降りてみる
- こんちは
スゴイ犬だ!
なんていう車種か
「 ナントヤラセッター、年寄り、俺と同じ 」
何を見てるの
「 いま、向こうから来てこの下を特急列車が通る、
さんじ、にじゅうごふん 」
おじさんが鉄ッチャンなのか
「 イヤこいつがそう、気違いみたいに喜ぶの 」
ふーん
ドレたまにはわたしも、特急でも見てみるか、
、、、と少しはおもったけれども
さんじにじゅうごふんまでは
けっこうまだまだあったうえに寒かったので
わたしは見ないや、といって去った
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数日のち、
またミギョンから電話があって
メゾンで夕食になった
*
彼女は将来、
相応の、
とてつもなく自然な流れの中に一体になり、
すてきな人生を切り拓くひとだ
わたしはどのような場へも、
ひとりで食事をしにゆくのがふだんの主義なのだけれども、
なんとなく特別に応じた
それでシェフも交えて3人のテーブルになったのち、
話がはずんでそのままシェフの山の邸で
アフターディナーを過ごすことになり、
車をはるばる飛ばす
膨大な星々、黒々とした山影
*
ふだんのプレゼン三昧で
喋ることが仕事になっているわたしには
ひとの話を聴くのがすばらしい安静効果になったり
シェフ57歳の人生と
ミギョン27歳の人生とを
ペリエとフォアグラ、
薪ストーヴの必要な星の夜にじっくりと堪能して、
深夜の帰路もたのしかった
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