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数年前の冬に声をかけて友達になった、
旅のカメラマンからメール
件名 ; 「 さちよに問う 」
本文 ; 「 人間とはなんぞや 」
*
ウッ
なんだあいつ
曇天の、朝のガス・スタンドでチャージ中
おもむろに
” 思索する高校時代 ”
、、、みたいな気分をよみがえらせて返信
「 絶対へ向かはんとする相対 」
*
そうだ
我々は相対に過ぎない
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昨夕の誘いに引き続き、
北海道最南端、M...町長より
朝8時ピッタシに電話
「 おはよう! こんな夜中にスイマセーン、
遠方からクルーズ中で寄港されてる例のヨットマンねえ、
今日もこちらに滞在してくれるんだってぇのでサ、
会いに来たらどうか~い 」
*
相対であるわたしは
さっそくにして予定を変更して遠路、
朝イチバンで松前町まで
( そのときわたしは別の遠路、
厚沢部町まで山越えするとこだった )
片道2時間ばかしの、曇天の海岸道路をゆき
当然、カセット・テープは八代亜紀をセットする
左手には、
荒れて波の踊り立つ津軽海峡
手土産に和菓子、
それに純米の黒龍を一升瓶で購入して
*
ねじり鉢巻でもポロシャツでも似合いそうな M町長の、
選挙的好漢スマイルに手招きされて
街の洋食屋さんで邂逅したのは、
うつくしく日焼けした、潮風の男ふたり
「 君があちこちで
ヨットヨットと騒いでいるのが聞こえ出し、
ヨット第一線のみなさんに波紋が起こるから、
いったいなんだというのか、
彼らに説明してちゃんと安心させなさい 」
・・・ とM町長が司会をする
*
太陽みたいに
はじめから笑顔を準備して待っていて下さったふたりに
相対であるわたしはすぐに安心し、握手をし、
ではしゃべります、といって、
順序も秩序も遠慮もなくペラペラと
止まらずに説明した
ひとりは札幌からのS氏( LISA号 )、
もうひとりは秋田からのK氏( Greece号 )、
どちらも有名な逸話や経験を持つそれぞれのヨットで、
シングルハンドでやってきた海路のお客人
*
町長には過日、
「 例の 【 青函帯2009 】 ですが
漁船だけでなくてヨットの協力も仰ぎたくおもいます、
かくかくしかじか 」
と、
夏の三浦海岸から実況中継していたのですが、
それに対して御仁、
数年前に松前漁港で開催された、
クルーザミーティングという大会の経験と人脈と、
そして道南マリンの可能性如何とを
ただちにわたしにブリッジしてくれようとしているワケです
が、
「 ここ、ひとの世ではね、
スピードの出しすぎは何かと支障をきたしますから、
淡々といきましょう 」
と、大人風に諌めることも忘れてくれなかった
*
荒れ狂う漁港の 『 ビット 』 に、
( ビットの重要性は前の記事を見てッ )
もやい綱をして、やたらと揺れ過ぎているクルーザの雄姿、
その神聖なるキャビンに招いていただいて
会話をつづける、
イヤもう見ているだけで酔うような、
あまりに具合の悪い波と14mの横風
もう、関取りみたいな時化の海
*
「 ア~気持ちがイイ、、、というか
気持ちワルーイ、、というか、、、 」
どっちなのかワカラナイ気分で
自慢の珈琲を落としてもらってガブガブ飲みながら
そう、ヨットの話は、
どんなに酔っても落ちてもヘルニアが再発しても、
必ず、彼らの虎の穴である海上、
キャビンでしてもらうに限るとおもう、
イノチガケで、だ
*
その甲斐あってわたしは
いつまでもタイヘン具合が悪かったが本日もハッピー、
もう未知ではない誰かが、
いつでもどこかの波のうえを、昼に夜に、進んでいる、
- ということを知るというのは
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