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木々 -
荒涼とした冬の景色に
ツィゴイネルワイゼンが鳴って人影がひとり
万物が
冬へと雪崩れてゆくさまに
狂乱する冬また冬
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北の、淋しい、冬が、いちばん好きだ
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冬の東北道は
多少ポンコツながらも
あのジムニーよりは百倍快適なボルボを駆って
12時間( ジムニーの半分! )しか要せず悠々然、
という気分で函館に上陸した
祖母宅の大掃除をすると
すぐに正月が来たから氏神様へ参る
そのさっそく翌日
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温泉後に函館の街でもあるこうとおもっていると
ヒマラヤ爺から電話があったので出た
歌舞伎風に新年の口上をしてから用をきく
曰く、
「 えー、こちら 【 中高年登山隊 】 から業務連絡、
明朝6時半、H.山麓集合のこと
メンバーは中高年の、誰と彼と俺 」
オエェ、とおもったが早朝の山はなにものにも替えがたく、
たとえば酒を飲んで過ごす夜の50倍イイので、
すぐに準備をして寝て4時半に起きた
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山麓に着くと
呼び出し主であるところのヒマラヤ爺当人は
ノロ・ウィルスか何かに身柄を渡してしまって来なかったし、
( プゥップ! )
頭上はどうにもネズ銀の重い曇天、
期待する日の出はサッパリ望めそうになかった
だけれども、” 険しい ” 雪山を登って
頂上での報いはO氏がきっと淹れてくれる珈琲、
それだけで存分に幸福なわけですからいいのです
( 後日、知人の中高年に
「 わたしの所属も中高年なのだろうか? 」 とソッと訊くと
「 まあそうだろう 」 といわれて飛び上がった )
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下山途中で
その身を過酷な状況に置くことを本性とするO氏は、
やはりその身を
過酷に置くを本性とするヒゲ氏たちと合流、
このあと別の K.山登攀に行くぞ、と云ったが、
わが身を過酷に置くことをやはり本性とするわたしには、
過酷が嫌いな K.というお客人が
その日あったので過酷をよして、
テレマーク・スキー用の板とブーツとを借りに
ヒゲ氏のところへゆき、
スキー場に移動して、
客人にはスキーを教えながら自分では
昨シーズンから引き続いて忘我するテレマークを練習し、
そのまま暗くなっても、
さかんに滑り続けてとうとう立てなくなった
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翌日は別のA.というお客人たちと
朝から氷上ワカサギに付き合って氷上で遊び、
その家族にS.という7歳の極真空手家がいて
彼の、マジ過ぎるパンチングを
ひたすらしつこくボディに受け続けてもビクともしない
鋼鉄の腹筋群をわたしは持っているために、
不幸ながら長々と人間サンドバッグになったりしつつ、
午後は彼らと、ホース・ライディングに奮った
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冬のホースライドははじめてだったが
よりによって駒ケ岳山麓でも山が見えないほどの、
水平に吹きつける猛吹雪のなかの馬上苦行を数時間
前日の早朝登山とテレマークで
ガクガクの下半身を持ってそのうえのギャロップ、
もう絶対にわたしは今日で死ぬとおもった
( その後は彼らと別れて
セカンド・ファミリー邸でたんぱく質補給のための
シャトー・ブリアンを喰らいましたので死ななかった )
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お客人三昧だった松の内も
表敬に出向いた消防出初式をしおに、
鬼々様たちの、上機嫌で優しいスマイルをいただいて
軽ろやかに明けてゆき、
あちこちへの挨拶行脚もだんだん済ませた
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わたしはある緊張感を胸裡にみなぎらせて
しばらくこちらでの仕事にかかります
皆々様、今年もどうぞよろしくね
( とまた、たつぞうから今度は
新年に送られてきた画像を勝手に流用する )
たつぞうサンキュー
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P.S.
もうちょっと
ブログをサボろうとおもっていたのだのに、
こないだ郵便局前で
町内会的近隣のオジサンに
「 オイ、読んでるぞ、早くブログ更新しろ 」
と突然云はれて心底ビックリし、
ゲエなんだ郷里の近所のオジサンが読んでるとは、
とおもってなんだかいやになった...( ← 失礼 )
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