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廃墟キャバレー未完成企画のときに
ブログにも前出だが、
いつからか
その廃墟内部へ勝手にモワッと侵入していて、
以降、毎日モワッと、知らぬうちに無言で侵入しては、
どこか暗いところで現場を磨いてくれていた、
ムーミン谷の住民に似ている風貌の、
( 要するに人間離れしていると云いたい ) クローク氏だが
わたしはその後に東京へ戻ったあとも
彼の長らくの無職ッぷりと、
ヨソさまからはどうみても仕事を与えられないような、
そんな風貌とがただ心配で
じつは何度か電話していた
*
この世で
彼のただしい性質と力量とをしって愛せるのは、
あのとき廃墟キャバレー未完成に集まってくれた、
それぞれに奇特なクルーの皆さんだけ、、、
なのじゃないかという気がする
*
いつも、
「 シ四十も過ぎてわたしは、、どうしたらいいんですかね、、、
こんな人間、、、ここんな人間は、、えー、、
スッすいませんこんなこと聞いて、、、
スイマセン、本当にスイマ、、スッスイマセン
あのホントにスイッ 」
・・・・・ と5分くらいかけて云うから途中で切りたくなった
*
正月明けの過日、
彼の正月は明けたのかどうか、トテモ心配で、
「 あけましておめでとう? 」 と疑問形で電話した
以下は
そういう流れのクローク氏とわたしとの会話である
*
「 ハイこちら、ナントカ(本名)です!」
( いつもなんて云ってるのかワカラナイ、ので
いまだ本名は覚えられない )
「 アッ、、、その発声によるとあなたはもしや、
いま仕事が見つかっていますね? 」
「 さちよさんご無沙汰で、、ございますハァ、、、なんとか、、
でも仕事というより アアアルバイトしかないん、
な、ナイン、ないの です警備の 」
「 道路かい? 」
「 ハイ、ピーと笛を吹いたり、ジョジョ徐行と書いた札を、、
、、、、、アゲッ上げ下げします峠の途中で 」
「 この季節に 」
「 ハイ、、、つ
つ
つらいです 」
「 でも大事な仕事だ、いないと道路が困る、
必要以上にヌクヌクとした部屋で、
CO2を削減したくてもなかなかできないより( ← しつこい )
いっそ寒い峠にいるのはいい、、、、、まあなんせ良かった、
何もないときよりはすこし、精神上、いいですか?
イヤまあがんばってください風邪を引かずに、では 」
*
と、
なんとなく無責任風なことを云って切ったのだけれども
そのあとすぐに電話がバックされ、
以下だった
:
:
:
「 さちよさんなにか、、、用が あったんじゃないですか 」
「 イヤないよ 」
「 エッ、、な ないんですか、本当ですか! 」
「 うんないよ 」
「 わたくしが必要とか、ええその、あああああ
イヤそんな大きなことホッホ、、云うつもりないですけど、、 」
「 イヤ大きくもない 」
「 あのわたくし、し しばらく未完成に、
イキ、イキ、イ、イカ、、( ・・・ 活きイカ? )
イカサシッ イ、( ・・・ イカ刺し? ) イ、、
行かさしてもらいまして、! スゴク、スゴ、
まあ早い話が目覚めチャッタんですヨ!! 」
「 ・・・・・・・・・。 」
「 ててて手伝いたいんです何か、てつ、、
わたくしは今バイトがありますが、ケ警備ですけど、
わたくしには筋肉がなくてしってのとおりダメですが
筋肉なら任せろという強い友人がいいいいます、ふたり、、、
ふたり、ふ、仕事がなくてヒマです、、彼らも手伝いたいんです
なんにもしてなくて、ヒマ、ヒマです、職安、ショ
もう わたくしも、クセになったんです、未完成みたいなの
未完成みたいなのの、筋肉じゃないやつ、、、
やりたくてやりたくてしッしようがないんですよ!!
ああ本当に!!おッおねがいしますよ!!!
スイマセン!大きなこと云うつもりないんですけど!! 」
「 べつに大きくないからいいよ
・・・ でも声がでかいよ 」
「 スイマセン、、、、 」
「 冬の滞在中になにかあれば電話する 」
「 おねが! おねがいします、ふたりも、ふたり!キッ筋肉
わたくしも入れればさんにん!必要ならもっといいいます
みんな同い年です高校時代の も モウ しじゅう、、 」
「 出番が来たらいっぱしの人材派遣ですよそれ、クロークさん 」
※注; 断じて彼には言語障害があるのではなくて、
より丁寧かつ適切な言葉遣いを瞬時に模索しようとし、
よってわたしの、つねに不適切に多用するタメ語を
非難している結果なワケです、誤解なきように...
( わたし以外の対人は、もう少しスムースなんです! )
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もうひとつ
やはり廃墟キャバレー未完成企画のときに世話になった、
その廃墟のお向かいの居酒屋へ
先夜ご挨拶として食事に寄って
その帰り道、
廃墟のワキへ駐車しておいた車のそばに
ひとりのオッサン的シルエットがあって
ヒョコヒョコと不安定なサマは見覚えのある歩きかただ、
とおもって近づくと、
その廃墟キャバレーの準備期間であった時期、毎晩、
犬の散歩がてらに廃墟へ立ち寄っていっては
どうでもない話をして帰ってゆく、
そういうオッサン群のうちのひとりだった
*
あらオジサンあけましておめでとうじゃありませんか
というと
「 いや~あ、、、、、たのしかったなああ、、未完成、、
本番見てねェし、なんも手伝わなかったけども、、、
イヤ、でも、なんかたのしかった、
あのなあ、ちょっと、、、
俺ね、つぎの時はあんた手伝わせてもらえねえべか
俺、なんでもするわ、なーーんんでも、ホントに、
あッ、チカラ仕事以外は! 」
と神妙になった
「 俺なあ、数年前に脳梗塞になってちょろっとなあ、
身体とかシャベリとかが、、変だべ?
へェ変になって仕事ねェ~くなって ヘンなオジサンになって
もうずうと、ずーーと仕事してねえのよじつは、、、、
どこも雇ってくれねえ、この身体、俺、
でも働きたいわけ、なあ働きてえわけ俺、手伝い! 」
「 もちろん拒まないわよ、
未完成のときだって喋ってばかりいないで
手伝ってくれりゃよかったんだのにねえ 」
「 ハー絶対連絡くれよ、俺ね、名前はH.、たのむよ、
俺は携帯持たされてねえからオッカアの、
ゼロキュウゼロのナニナニナニ、
かけてみれ、いま、いま、
オッ、出たか、オー、俺俺!!俺よヘヘヘ、、
これね、さちこさんの携帯電話、( ・・・ さちこさん? )
未完成のホラヘヘヘヘヘ
何ヶ月かしたらよ、俺にお呼びの電話が来るから、
これにね、おめえ切っちゃだめだよ、俺にだから、
この番号ね、ヘヘヘね、この番号から俺にお呼びの
ア、わかった、ハイ、ハイ、、、ハイ、、ヨロシク、、、
ハッハーー、これでヨシと、ね、
いまのがオッカアの番号ね、
なんでもするから俺、あ云っとくけどチカラ仕事以外な
働きたいの俺、働きたいの、ああやって、
なんかこう、、、カネでなくてサ、 」
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労力資源、
しかもどれもおしなべて有能、
このひとでなければならない特異な何かが
かならずそれぞれのひとにあって
それに光があたる場合において有能、 ( あえて注意書き
とにかくそれらが
溢れるほどに余っているというこの手のネタは、
老若男女、みなさんの周囲とおなじように
わたしの周囲にもまだまだ膨大にあって
もちろん函館にとどまらないが、
( 正月は夕張に住むカメラマン宛ての年賀状に、
餅が喰えてるかどうか心配で、大掃除のときに発掘した、
おこめ券を入れてしまったくらいだ! )
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なんだ、とおもう
ちょっとまてとおもう
この仕事の無さ!
このプアさ!
手があまっているという贅沢さ!
腹がたつ!
失業者という、
人一倍、無念さと欲求とが付加されて潜在する、
彼らのチカラがこれだけいれば、
みんな集まったらなにか、ヨキことのひとつやふたつ、
いくらでも出来るんじゃねえのかとおもう!!
*
例えば!!
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・ ストーンヘンジを造るとか!
ピラミッド ・・・
ゴ、ゴミ拾いとか!
空港の滑走路の雪かきとか!!
廃墟の掃除とか!!
合唱団!
プアーズ・オペラ! ジプシー・プアーズ・クワイア!
( 消防の金管バンド隊と組む!こないだ偵察して来た! )
全員で自転車を漕いで発電した電気を売る!!
( これはスゴイ!じぶんも熱くなるゆえに!
ノー暖房! CO2 ! ノーデブ!! 電気ブートキャンプ!
いや、プアーズ・エレキ・ブート・キャンプ! )
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世の中には、手のゆき届いていない部分が、
( 上記以外にも ) まだまだ死ぬほどあるのに!
ちょっとまてい!
絶対になにか発明してやる!
全員に仕事をやる!
待ってやがれ!
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チッ!!
クローク氏と脳梗塞氏のチャーミングさを、
世に売り込もうとおもったのに
いつのまにかじぶんの
誇大妄想狂的虚言癖がバレてしまった!
( またしてもひとり盛りあがり! )
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云っておくがこの性格は死んでも治らねえね
わかったか! ( ハッハッハ )
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