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すべてがあたたかい。
春の夜。
電話も。
コマヤ氏の手紙も。
S.のひとことも。
シュンちゃんの声も。
彼女の環境も。
IKUZOさんのメッセージも。
西陽の木々に当たるのも。
部屋をストライプにする深いオレンジ色も。
ジタンの香りも。
ジャズも。
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友だち。
ファミリー。
ひと。
生活。
人生。
ヌカ漬け。
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去る1月の晴れた日、
わたしが長く函館( 大沼 )に滞在していた時分、
うつくしい火山の横たわる分厚い氷上で、
友人経営のワカサギ漁場から来いよと呼ばれたので
OKと云って立ち寄ってみると
たまたまそのときにワカサギ釣りに来ていた、
関西からの男ふたり旅の親子と仲良しになり、
いっしょにワインを飲んだり鹿を食べたり
街の紹介をしたりして、いちじ別れたが、
その夜にまた繁華街で落ち合うことになり、
こんどはいっしょに魚を食べ、ごちそうになったりした。
- じゃあそろそろわたしはジャズを聴きに行くからさよなら、
というと7歳の少年も行くというので結局、
いっしょに山まで行ったり、
その後 Bar へも一緒に行ったりして夜が更けた。
その彼らが、
また夏にも是非、どうしても函館を訪れたいというので、
宿泊や遊び場などの手配を手伝ったりして
互いにワクワクしているところ、
関西は泉州名物の、
【 水茄子 】 のナマと浅漬けとがどっさり届けられた。
これ大好きなんだ!
せっかくだから、
夏に彼らがおとずれたときに出会うかもしれないひとたちに、
分けて差し上げることにして、
あらかじめ彼らの広報をかねるつもりで大沼へ転送した。
夏、
「 あの水茄子の 」 と紹介したときに、
「 ああ!あの水茄子の 」 と応えてくれるひとがたくさんいたら
きっと彼らの友だちが増える。
そうして、
また冬も、また来年も、といって、
ずっとあの街のこと、
好きになっていってほしいね。