■
あああ
あたりを満たす沈丁花の香気にさそはれて
まといつく煙雨、華の香水なるをゆく
*
そうそう、こうだった
東京の春の雨はほんとうにやさしいのだった、
夕暮れを、
雑木の向こうから歩いてくる微笑みの老婆も
傘を振りまわして軽ろき足どり
そこはかとなく楽しいので
むやみに大声で
こんにちは!
とかなんとか挨拶でもしたくなる刻限
*
しばらく前から東京にいます
馴染みのオンザロード、
東北自動車道はずっと吹雪だった、
吹雪だったが東京に着いたら春だった
函館はH氏より、
今日から春だから珈琲でも飲まないか、と電話があった
まるで春そのものからの誘いみたいに
● ● ●
ところで!
<< キャバレー未完成のルポブック、
( 満を持して… ) 3月20日発売でえす >>
■
今ごろスイマセンねえ...
*
本できた? - まだ
本できた? - まだ
本まだ? - まだ
本できた? - まだ
本いつ? - まだ
本できた? - まだ
本でき、、、- うるさいな!
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*
と、さんざあちこちから問われ続けていたが、
そろそろ誰からも訊かれなくなってきた今頃になって、
ようやく発売に漕ぎ着けた、、、
というハズシ感たっぷりの、
哀れな感じであるところがまたイイ!!!
■
東京に戻ってくるまえに
過日、消防本部へご挨拶にゆき、
たまたま持っていた 『 新作本 』 のチラシを渡す
- おうおうおう、久々久々、来たかい来たかい、
エエエッ、あんたもイヤな女だねえ、
久しぶりかとおもえば本売りつけに来やがったな!
まったくもう、珈琲飲みなさいよホレ
イマドキねえ、本なんて売れねえんだから、
よーうみんなあ、この本欲しいひと~!!
・・・ ホラいねえだろ?
*
ああ、ただ報告がわりに渡しただけだのに、、、
とまあ、売り言葉に買い言葉とする
「 でもこれ軍資金稼ぎなんですから、
協賛代わりに30冊! 」
- バガコグナモー! ( ← 外国語みたいだが日本語 )
ヤーンヤまったぐ、せば3冊、消防で予約。
ところでホラ、事前予約なら割引とかするんだろ?
チラシに謳ってねえね!
「 あああッ忘れてた! 」
- ばっかだなあ、ほんとヌケてるよねえあんた!
ちゃんと割り引けよ、
くれぐれも今度は消防を巻き込むなよ、
いいかわかったか、巻 き 込 む な よ
別のデスクでは別の職員氏が
ニヤニヤして押し売り押し売りとつぶやいている
*
・・・・・・・・ ということで、
チラシにはスッカリ書くの忘れてたが
3月20日までの先行ご予約なら!!
3,000円のところ、ナント2,700円でえす皆さん。
■
美術館のあと
駐車ついでに五稜郭タワーにフイと寄って
上の面々に電話を送ったが全員出ない
・・・ さては
本の押し売りをしようッてのがバレたかな?
*
しかたがないので
ゼンゼン飲みたくもなかった珈琲を
経済効果のために、恩着せがましくオーダーして
ノートを広げて仕事しているうちにようやく
外交に出ていたというひとりからバックがあった
( ああよかったバレてなくて )
モシモシ、ズバリ今ヒマですね?
二階のカフェにいますから来てくださいよ
*
「 ようよう、久しぶりだねーい!!
どうせお元気でしょう
ん? なんか怒ってるね?いろいろなものごとに?
フンフン、フンフンフンフン、そうか、フーン、
そうか、うんうん、なるほどフンフン、フッフーン、、
ウーンそいつぁ・・・ フンフンフーン、、
ところで怒ってないでなんかイイ企画なあい?
うんうん、へえそうか、フンフン、おうおうおう、
あそれいいねえ、参考になる。出来るかもねえ。
それはいいアイディアだ、、フンフンフン、
・・・ で、え、本を、買えと。
なッ なあるほどう。
あ、み、みんなの分のフライヤ。みんなに、売れと。
な、なあるほどう。 」
我ながら押し売りだなあと反省して
さっさとズラかる
■
某パチンコ店の奥の奥の奥に鎮座まします大入道、
見るからに恐ろしい風情のK社長へTEL
*
社長室が、
事務所の迷路を通って
奥の奥の奥の奥、にあって仰々しいし、
( 刺客がたどり着けないように設計してあるんだな? )
1杯目のお茶がまだ飲み終わらないうちに
すぐに次々と、珈琲も出てくる
「 アンタのよう、夏の企画、、【 青函帯 】 よ、
これ、俺の見積もりじゃ億単位のゼニかかるだろ 」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
そそそそんなにはかけないですよ。
「 イヤかかーる! 」
*
このひとは世界中のありとあらゆる豪快事を
肌で知り尽くしている目利きであるからして、
すでに想像力のレベルが違うということかしら
ありがたいなあ
こういう視野と価値観とを持ったひとに
イメージされた図というのも
*
企画を
主幹側のやり方と与件にすりあわせ直す作業は
当然ながら物事と想像力との矮小を強いられ
たいへんむずかしかったから
億の想像力にわたしはひとときうれしく、
気分がのびのびするようだった
*
- これ軍資金にまわす本の宣伝です
「 オウ、ひとまず50冊な、売ってくれよ、
軍資金ておまえ、軍資金稼ぎにしちゃ小せえのう、、、
なにしろ億だからなあ、、、
困ったなあ、、、億、、、億、、、
、、、、ハァァァ、、億・・・・ 」
って
あくまで億単位を想像しつづける大入道親分
*
こ、、困ったなあ
億 ・・・・。
( なんか疲れが余分に増大した )
● ● ●