■
「 ガッツリ雪! 」
と函館からメールがあったとき
わたしは都内の首都高速にいて
窓をあけたままで走行しているし、
同居の黒猫エバというと
東京入りしたとたんに暖かいから発情期になって
かれこれすでに10日あまり、
萩原朔太郎の詩みたいに叫んでいて穏やかならざる
*
滞在が短いからタスクリストが満タン、
日々が、処理不足のままにビュンビュン去る
東京にいるあいだのタスク、
会ってもらうひとの数と、
こなすべき諸事と、滞在日数とが合わない
電話業務三昧に埋没して1日が終わったこともある!
耳と声とが帯電するし、
虚空に向かってひたすら1日じゅう、
頭を下げ続けたりして猫背になり、
まったく病気になりそうだ
※ 子供時代は時間の経つのが飽き飽きするほど長くって
大人になると短く感ずるという一般共有観念に、
「 否、」 実際に時間そのものは
短縮してゆきつつあると説く宇宙学者がある
↑ コレ、大いに同意、ゼッタイにそう!
■
梅津和時氏( sax )が北海道ツアーするから
函館を受け持たないか、
とヒロオくんから話があったあと
後日わたしは仕事で横浜にいて
満月を見ながら
そうだたまには梅津さんの
ピカピカの満月頭でも見にいこう、
として遅い時間に寄り道した、
六本木通りにある小さなシャンソニエは満員
*
優れたナマ音を聴くと
むくむくと身体じゅうに何かがみなぎる
彼の満月頭、管の咆哮
そうだわたしはしばらく、眠っていた、とおもう
■
別の日
モーションブルーで演るよ、とヨネキがいうので
大黒埠頭をまわってこの晩も横浜へ
*
【 青函帯2009 】 でプレイしてもらうことになっている
大石学トリオのステージ
ベースは我らがヨネキ、
ドラムスは、我らがダイリキ氏でなくて最近セシルだ
午後、六本木での仕事が押したから遅くなり、
1stセットの途中で入る
セシル・モンローの黒いドレッド
ヨネキの長髪ストレート
大石さんのスキンヘッドがそれぞれに
青い照明に揺れている
*
ガスウォーターと
魚のテリーヌを発注して聴いているうちに
彼ら
ジャズクラブもいいがきっと野外のほうがよかろう、
と空想する
天はひらいていたほうがいい
どんなシチュエーションでどんな物語が作れるだろう
その場を、どんなストーリーで挑もうかな?
、、、かような脳内トリップに熱中して
サウンドはゴリゴリドライヴかつハートフル、
骨太で肉厚で抑制の利いた知的な肢体、イイ感じ
一曲ごとにグングン惹き込まれて
またわたしは冷静でない
- そうだわたしはしばらく、眠っていた、とふたたびおもう
身体に音楽が満ちる
*
吉祥寺サムタイム
つづけて大石学トリオのプレイ
たっぷり3セット演るクラブだ
夜、かさねての打ち合わせにこの日も顔を出す
*
ヨネキに合図すると、
ようサッチン、と機嫌のよい声が返る
すぐれた音楽を聴くと
体内になにかが勢いよく巡る
- ああこの夜を、
またいつもの函館のみんなと
たっぷりシェアしたいなあとおもう
ヨネキたちと、どんな夜が作れるだろうか
*
じぶんの、モチベーション・キーパーは音楽だ
沈黙には聖なる荒野がある
それも必要
そうでないときはぜんぶ、音楽に身体を明け渡す
*
わたしたちの肉体は
世の中の現象もある種の音楽として波長をとらえる
建築も風景も音楽に変換される
筋トレもランニングも音楽に変換される
読み書きも、ニュースを見るのも、
コンクリートを壊すのも、
雪が降るのも、珈琲を落とすのも、
インスピレーションも、
逐一の世界に相対し、
それらと逐次コヒーレンスな波をつくって存在しているのが
この身体なのだとおもう
*
・・・えっ 意味ワカンナイ?
いいさ
まあ、なんでもいいから、とにかく、シェアしましょうよ
てことですよ
● ● ●