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朝食を S...というジャズ喫茶で摂ろうとおもい、
開店時間の30分も前に、おとずれた
マスターに合図して中に入れてもらい、
「 あずましくないねえ 」 といわれながら珈琲をまつ
*
昨年秋におこなった、
函館・大門での廃墟キャバレー企画、
【 一夜限りのグランド・キャバレー未完成 】
ルポタージュBOOKの制作が佳境に入っている
*
今回チームを組んでくれたO氏と、
彼のとこのC女史が奮闘し、
わたしの、例によってしちめんどくさい脳内の
イメージやオーダーを、近未来的手法を駆使して
この世にじっさいに刻々と、現出させてくれつつあり、
それは2000部作って手売りする
のが苦労でなくて楽しみ以外の何ものでもないくらい
ステキな本が生まれつつある
*
使用する古い写真群や
人物掲載など、面倒事項も多いが
逐一、関連人物を探したり連絡したり、
仁義や挨拶やお願いに出向いたりなど奔走もし、
或いは
いろんなひとの宣伝になっている部分を持ち出して、
広告料をゆすりに行ったりする
*
「 あらさちよさんおはようございます 」 といって
朝のジャズの闇にまぎれて奥から夫人も出てきた
・・ すいませんねえ開店時間より早く来ちゃって、と、
たいして思ってもいないことを云いながら、
校正の続きをここでさせてもらおうと
テーブルにテキストを広げる
- あ、そうだ、これ、
去年のキャバレー未完成企画のルポ本を製作中なのです、
この文章のなかにわたし、
この店のことを書いちゃったがゆるしてくれますか、と訊く
「 ええもう!!さちよさんのことなら
なんでも応援いたしますって、うちのマスターも
かねがね言ってるんだからどうぞどうぞ! 」
- ああよかった、それを聞いて安心です、
ではちょっとこれ見てみてください、
すばらしい本でしょう、なんてカッコイイ!ねえ!
この店について触れた部分も、なかなかすばらしいのです、
我ながらね、ワッハッハ、
ちょっとあっちで、ふたりで読んでみて、
、、、といって追いやるとしばらくしてマスターが戻ってきた
*
マスター ;
「 いやァ、、、あんたがわざわざ自画自賛するまでもなく
これはじゅうぶんすばらしい本になりそうです 」
わたし ;
「 でしょう、ありがとうございます、
ほんとうにすばらしい本になるんですとも、
ありがたいことです、だいたいこれ、
まだ売ってないけれども、、
ッテいうかまだ出来てないけれども
早々に売り切れちゃいますから早く予約したほうがよいです、
じつはもう売る前から完売なんです、
たしか、あともう残り1冊しかなかったな倉庫に
ついてはですね、
コレ、わたしがんばって脚を棒にして津々浦々、西へ東へ、
売り切れるまでは老後に及んでも売りさばくんですから、
この店のことも、それはそれはすばらしく
書いてあるんですから、
予約以前にきょうは宣伝料として、
5万円をいただきに来たんですよね 」
、、、と云ったらヤンヤといって逃げられた
*
なんだ
失敗した
次、もう1軒いってみよう
どうやれば人生、
他人からあっさり5万円もらえるだろうか?
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ところで
使用させてもらった、廃墟キャバレー未完成 のオーナーにも
ハコと人物との画像掲載の許可その他を得るために会う、
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オーナー氏の指定した大きな店へ午後の変な時間にゆくと
ちょうど食事をしていたところだった
メシくらい一緒に喰おう、ご馳走するから、
とでもいってくれたらいいんだのに、
しかも安そうな店だし
水臭いったらないですね
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やあ久しぶり、まだしつこくなんかやってんの、
あんたもうやめなさいよホントまったく
ブツブツ、あれそういや、
こないだまたしても新聞に載ってなかったか?
しかもいろいろ、何度も見た気がするぜ?
しつこいねえあんた、なにやるのさ今度は
- そんなことよりわたし
寒いうえに喉がかわいてるのですけど
珈琲のいっぱいも勧めてくれたらいいんですのに
( 腹も減ってんだ )
ハイハイ!すみませんねえ、
飲みなさいよ、どうこれすごいマシーンでしょう、
奮発したんですよ僕、、、僕はこういうことで忙しいの
- え、この( 安そうな )店、もしやオーナーの店ですか?
ヤンヤそうだよまったくあんた失礼だね
- あれマァそれは手ぶらでスイマセンね
ホントだよまったく手ぶらで来たもんだねあんた
- それよりオーナー、
またしてもこんな大きなハコなんかつくって
( もうちょっと気の利いた店のひとつも作ったらいいのに )
儲かってるんなら500万円くらい貸してくださいよ、
だいたいこの本、
あなたの 「 キャバレー未完成 」 の本なのだし
なんでわたしがいつまでも自腹切らなきゃいけないのか
見てくださいよこんなカッコいい本になるんだってえのに
スゴイでしょう!!ああでこうでこうですよ!
ここはこう!ホラホラホラ!!
こんな本もうどこにもないよ、あ、しかももう売り切れ間近、
2000人の未完成ですよったらピーヒャラピー!
エー、宣伝料宣伝料、返ってくる宣伝料だよ、
500万!利息ナシ!
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なに云ってやがるホントあんたはやなおんなだねえ
さんざ勝手にムリヤリ物好きしておいて
知らないよ勝手にしなさいほんとにもう
2000人にそうやって売りなさいよ1軒1軒まわるんだろ、
あんたならできる、
2000人、1軒1軒ノックしてさプゥップ!
そうやって、ふてぶてしくサ
で、なんだかわかんないけど
買っちゃうんだよ2000人ね、きっと!
来年の企画の資金稼ぎに、がんばりなさいよ
プゥップ!
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うーん
うるさいですねえ
どうやれば人生、
他人からあっさり500万円くらい貸してもらえるだろうか?
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