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わたしに与えられたのは怒り
怒るべきことがあるからどんどん怒る
この街は来年、開港150周年を迎え、
あらゆる膿はこのマナイタの上に載せることができる、
義憤にとっては千載一遇のチャンスだ
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特上ヒレかつセット!!ご飯大盛り!
腹が立ってるんだから景気付けにトンカツを喰うよ!
勝負のときはトンカツと決まってる!
( さっき昼食に蕎麦を食べたあとだけれども! )
ものすごい勢いで特ヒレを喰らい、
ひとことでは云えない物事の不義を
のべつ呼称した
横のオトナ役はわたしを睨むようにして聞き入り、
次々と槍のごとく人の紹介をした
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のしのしと歩く雪の道の先で
IG氏の背中とばったり会った
挨拶がわりに 寒い!と声を掛けた
おう、時間あるのかいと云うから、ないと答えたが
食後の、茶の一杯でももらっちゃおう、
とおもって着いてゆくと
おいしい玉露にありつけた
そこでもベラベラと早口言葉
物事の不義不条理を演説し、
相手のオトナ役は黙って聞き、理解を示した
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立ち去ると
BIG3なんちゃらの否決によって
急激に為替が動いています、注意してくださいとメール
なんだと!この忙しいときに!アメリカ野郎!
市況など放っとけ!
・・・ ゲッ87円!!
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夕方、P氏を呼び出すと
手土産の食料をどっさり持ってやってきた
現況と諸問題、といってベラベラと喋る、
もらった食料に喰らいつきながら
不完全燃焼の、ゼンゼン暖かくない暖炉の前で
燻られて
このかたは黙って聞くひとでないが
示唆に富む長ーい対話をした
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夜、、、
指定時間より早く着いた和食の店の
上品なるカウンタの端に相手はすでにいた
- やあ久しぶり、よく来たね、元気かい
どうだいツライだろ、聞いてるよ、
相当ストレスこうむってんじゃないの、
深いとこへ行ってるねきっと
” 函館のドツボ ” を見てるんだろう
この街は変わらないよ
お前は果てしないものに手をつけてる
、、、まあ好きなもの、今日はたくさん食べなさいよ
次から次へと出てきたのはご馳走三昧
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なんぞ怒っていると飢餓しないなあということに気づいた
・・・ そんなら明日も怒ろう
なーんてワケにはゆかず、
怒ったドサクサに乞食をしているみたいだから止そう
なんたって過食だろうとおもう、いまどき流行らない
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帰宅してから真夜中の洗腸、
つづけて翌朝のジムでの筋トレで
なにごともなかったことに帰す
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函館旧花街・大門
大門最後の老舗高級クラブ、
” クラブ倫敦 ” のクローズがとうとう告知に至る
47年間の君臨だった
これで
過去の延長をしてきた大門は、
実質、終わったのだろう
( 告知欄でなく、
新聞はいずれちゃんと報道すべきだ、タイトルは、
” 大門・瓦解 ” と書いていい )
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わたしはそのうつくしくて明るい店を、
” 竜宮城 ” と呼んで
幾度もお邪魔させてもらっては
麗しいお姐さん達や
街の名士たちのふるまいを見たり、
マフィアのドンみたいな貫禄をして
シガリロを咥えた洒脱な格好で采配する、
老いたオーナー翁のクセになる手製の塩辛やら、
日本中のおいしいものやらを随分食べさせてもらった
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終わりの日まで、
わたしは毎日、花を贈ろう
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