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マイルスの枯葉、ではなくて、
エロール・ガーナーの枯葉、を聴くのだ秋は!
青山の銀杏並木は青々、
河土手には水仙、
千葉じゃ梅に続いて桜が開花!
それでも聴くのだ、枯葉を!
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何年も前から、
祖母が、故祖父の13回忌のことを云った
*
「 ~年後は13回忌 」
「 ~年後は13回忌 」
「 13回忌をするまでワシは死ねない 」
「 13回忌をしたらワシはもういい 」
「 再来年は13回忌 」
「 13回忌はお金がかかるから借金を取り立てたい 」
「 来年は13回忌 」
「 今年は13回忌 」
と云いつづけて過ぎし先日、
その13回忌の日をいよいよ迎え、
それを済ませてわたしも東京へとおもっていた
*
実家のひとたちに
本当に13回忌かどうか調べておくように
前から云っておいたが
何年もなかなかそれをせずにいて、だれもが、
「 イヤ10年じゃないか 」
「 9年 」
「 8年 」
「 イヤ死んだ年が8年なのか死んでから8年なのか? 」
「 来年じゃないか 」 云々、、、
と、
対応はじつにテキトウで無益な憶測の域を出ず、
わたしは心底いやになっていた中、
とりあえず年寄りを失望させるべからず、
とおもって仏壇と仏間のクリーニングなどをして待つ
*
当日、母から電話、
「 いまお寺さんに聞いたらやっぱり13回忌
・・・ いきなり今日、13回忌といわれてもねえ、、、 」
!!
ヒャーなんだってまた、
断じて、絶対に、いきなりではないのに、
そのような回答が返ってきたとあって、
わたしはアゴがはずれそうにビックリした
*
壮大でカネのかかる儀式を
執り行う了見でいたはずの祖母に、
では墓参だけでもするかどうか問うと、、
「 エッ、お墓!? 何しに?
ワシは寒いから、行かない 」
といわれ、
わたしはもうこのうちには常々ビックリしすぎて
いまさらビの字も出ない気分だ
*
しかたがないので
温泉で清めてからひとりで墓地へゆく
すばらしい紅葉と
すばらしい寒さと
すばらしい山々の遠景と
すばらしい入日前の刻で悦に入る
ここの墓地は立地がうつくしくて
配置もランダムかつワイルドで気に入っているゆえ、
よくひとりで、誰もいなそうなときに、来る
東京にも、うつくしい墓地が多い
とくに秋のこの時期などは、よく出向く
雑司ヶ谷、谷中、青山、、、
*
ここは墓地までの長い田舎的アプローチ、
畑と杉林とを通ってゆく
手桶に水を汲んだのを、
バッシャラバッシャラと墓石に打つ、
あんまりおもしろくなってやめられなくなり、
はたから誰かが見ていたら怒られそうなカンジで、
四方八方からバッシャラビッシャラと打ち、
一杯では足りずに、
近くを流れている小川からも汲んで続けたし、
他の墓もあちこち見てまわった
ひとりで
墓の間をばかのように楽しんでいるのを、
向こうのビニルハウス職人から見られていないかどうか、
チラチラ確かめる、
( ときどき、農作業のひとが仕事をやめて
ジッとこちらを見ているときがあるので )
*
墓の上にたって、
山々を見ながらいい気分になり、
どれ、秋の俳句でもひねってやるかとおもい、
おもむろに、
「 秋の日は つるべ落とし 」 と云った
イヤこれは既存の文言だし、
ゼンゼン俳句でもない、とおもいなおし、
「 秋の日と、、、筋肉は つるべ落とし 」 にした
そう、
函館滞留の数ヶ月、
あんまり忙しくって今回は、いちども筋トレに
出向く時間を取れずにいたのが
どうしても気がかりでしかたがなかったために
時、極まって出た警句です
- 筋肉は、あっという間に落ちる! の意
うまい、とおもって
ドカッと石に座りなおすとそれは、
たったいまビッシャラと打ちまくって冷え切った水たまりで
あっというまに洋服が大いに濡れてすごく冷たかった
びっくりするうちに
さすがにつるべ落としの陽が落ちてきて
死ぬほど寒くなり、
震えながら
遠い田舎的アプローチをこんどは逆に走って戻り、
お尻を浮かせて車をすぐに出して、
さっさと着替えに祖母宅へ戻るけれども、
8月からの滞在によって
この時期のための暖かい服装の用意がそれ以上なく、
しかたがないので、いつもの、
作業着とドガジャンになってしまった
その後、ひとと会ったが、
「 なぜいまだ作業着なのか? 」
と再三問われるにつけ、
「 モゴモゴ 」 と答えておいた
*
そして今日、
なんとなくたしかめてみようと
祖母に電話してみると、
まだ生きていた
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< 追 伸 >
我が 労働者家具企画、
【 Red Necks Company 】 より、
次作のあたらしい椅子ですが
以前から
自宅にいても工事現場においても、
ずっと自分で愛用していたスタイルが
あんまりすばらしいので
これこそは作品化してみなさんにシェアしよう、
と、
さきほどおもい立つと同時に、、、
すごいことを発見した
かのグレン・グールドが
ピアノフォルテを弾くときに、
ばかのように低い子供椅子を使うについて、
あれは
ハムストリングス( 大腿の裏 )の血流等を
椅子によって圧迫してしまわないように、
という、芸術のうえでも全身を科学する天才における、
周到な配慮だったのではないか!
*
というわけで、
次作の レッドネックスカンパニー、
『 労働者から生まれたイキなヤツ 』 シリーズは、
接地面が殿筋( ヒップ )のみ、
ハムには負担がかからない、且つ、
ほどよいフットレスト付、しかも折りたためる!!
いちど座ったらクセになる、
前作の ” ドカタ・チェア ” に劣らない、
垂涎の作品となるでありましょう、
どうぞ、おたのしみに
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