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2007.9.23.予定
函館旧花街・大門へのオマージュ
【 一夜限りのグランド・キャバレーの灯 】
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ジャズだ
ジャズがないと死ぬ
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” M...のK... ” という名のジャズ喫茶へ
挨拶が遅れて失礼様、とだけは伝えて、
すぐに廃墟現場に戻ろうとおもったが、
二重エントランスのうち
最初の扉を開けた時点でマック・ザ・ナイフが聴こえ、
冒頭の感情に満たされてしまつたので
「 遅くなりまして 」 と頭を下げて
奥のスピーカ最前のシートに座る
ここの音はスゴいから
わたしはいつも、
『 音浴 』 とでもいう気分になる
*
サボってやる
そうそう
サボってやろうたまには
サボる時にはジャズ喫茶
*
今ごろ廃墟現場には
屋上の、雨降り養生用に頼んでおいた
たくさんのブルーシートを持ったアキラ君が来て、
( 先日のは、わたしがコストをケチったおかげで
あまりにもハンパに足りなかった )
エントランス前には
先日、工事を協賛すると約束してくれた会社から、
頑強な道路工事夫たちが来て、
ガタピシだったところに
あたらしいアスファルトを敷いていることかしら
さらにはきっと、
雨を含んだ曇天を気がかりにして、
心配で心配で眠れなかったナゾノ博士( 前出 )が
自転車を漕いで
ベタリとカールしたロン毛をなびかせて、
我々の廃墟に到着しているような気もする
キキーッ、と、彼の赤い自転車のブレーキ音すら
わたしには聴こえる
そうして彼はひとりで、
以前みんなで夜にやったみたいにせっせと、
雨の降るまえの屋上に
ブルーシートを張ろうと試みて失敗しているだろうとおもう
しきりに大汗をかきながら
*
わたしはここで、
『 工事責任者 』 の腕章をつけたまま、
恍惚としてサックスに浸っています
もう、頭も身体も動かしたくないんだよ
ハッハッハ
ゆるしてください
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人海戦術用にとっておいた、
あれこれのチカラ仕事
「 ” カネじゃねえ ”
と君のチラシの裏に書いてあるから、
俺はカネじゃなくて、心配を協賛する 」
と云って
執拗にそこへこだわる、イヤな NK氏のツテで
5人工の屈強なる男たちが、
下請けさんだの孫請けさんだのから引っ張りだされて
きっとワケもわからないままに集まってくれたおかげで
先日は朝から
やけになつかしくおもえる、
工事現場のプロの男たちとワイワイ仕事する
thanks
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先日
K...消防署員立会いのもとで、
防災訓練の練習と教育とをおこなっていただいた
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近所の大ビルから、
最近になってゾロリと集団で現われては
やけに一致団結してまとまっている、
勝手に徹底したクリーニングをしてくれるお姉さんたち、
エプロンと手ぬぐい姿で愉快にザワメキながら
集中的に息を合わせて随所をキメては
またゾロリと帰ってゆく、、、、、
彼女たちにも参加してもらい、
まったくわたしの練習不足で怒られそうな、
避難訓練をした
*
かき集めた消火器群を
消防のI氏が特別に、逐一分解して検査してくださり、
我々は廃墟で、、、、廃墟だからこそ、
消火器の秘密をまなんだ
あのひとたちは
すべての国家衆生に
防災のなんたるかを、
防災の重みを啓蒙する消防大使ですから
わたしは
防災の重みを知る、よい国民でありたいと、
彼らを見ているといつもおもうし、
なにより今回のこの企画を
きっちり堂々と遂行できるように、
厳しく対応してくださる様子にわたし、
こうべを垂れたくなるわけです
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いよいよ、
PA機材を調達してきてくれる suga 氏が
夜遅くに現場に到着するのを待つあいだに
ビッグバンドのバンマスが雨の中やってきて
ステージチェックをしたり、
不穏な注文をつけたりしつつ、
この廃墟のなかに
複雑な図面にて入り組んだ、
いまだ開かずの間だった、わたしたちの知らない空間、
” かつてのバンドの楽屋の位置 ”
を発掘してくれて
はじめての闇の中に足を踏み入れてはまた驚く
! ! ! ! ! !
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救い出そう、ぜんぶ、救い出そう
ここの闇で人知れず息づいていた、
もろもろの生命の残滓をすべて、救い出そう
この廃墟がまた忽然と、
ふたたび元の廃墟に戻るまでに、
もうあまり時間がない
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