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みなさんと、みなさんと、
それと消防のみなさんに
*
わたし、泣いてスッカリ謝って、
どこか反対の南のほうへ、逃避したくなった
・・・・ ハコダテ?
なにそれ? 聞いたことナイヨ
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2007.9.23.予定
函館旧花街・大門へのオマージュ
【 一夜限りのグランド・キャバレーの灯 】
↑ ずっとこのネタばっかしで
わたしとしてもとっくに疲れているんだけれども
続ける
*
函館の消防長とわたしとは、
おなじ孤独の地平に立って向き合うのだということを
わたしは真に、知った
ここには、
誰がなんと加担してくれようと、我々ふたりしか、いない
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仮に、この企画について、
大いなるひとつの問いがかかるとする、曰く、
「 それを、やらなきゃならねえのか? 」
この問いに、「 イエス 」 というのがわたしで、
そのわたしに、「 イエス 」 というのがそのひとだ
その胸裡には、消防法と、数百名のいのちがある
ほかにも多くの問題があるが、
いまは、これについてだけ話す
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わたしは、
廃墟歴の長い封鎖物件に、200~300、
準備段階も入れると延べでそれ以上の、ひとのいのちを、
そこへ招き入れるという無理を通しつつあり、
それへの段取りを日々、猛然と、続けている
東京滞在中、
こちらで済ますべき数々の必要事項は、
不足ながらもなんとかクリアしてゆき、
( 否、まだ時間が欲しいくらいで、)
そうして大詰めこの2日間、
なんだッてまた往復4時間近くも要するところにある、
K...市の消防署に通ってカンヅメとなり、
『 甲種防火管理者講習 』 を受ける、
、、、というのがおおよそ、
こちらでの最後のミッションだったが
防災の精神立脚と法規とをまなぶ、
わたしにとって極めて重要な、2日間だった
じぶんがやろうとしていることの責務には
筋を通さなくてはならない
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初日のテキストのいっとう最初で、
よりによって、
「 某市某所における某年のビル火災で、
キャバレーの従業員と客、死者118名 」
なんて事例が写真付で提示される
ゲッ!なんだ!!キャバレー!!
ハナっから縁起が悪い!!と奮い立ち、
同時に、責め苛まれたようなどん底のような心もちになり、
だんだん具合が悪くなってきた
そのうえ、
それに連なる講釈も
あれこれと進んだ次のセクションのなかで、
160名の受講者に向けて
たいそうわかりにくい言葉で話す老講師が、
「 云々、、、、
それでこの場合、責任所在のこれは、
誰を指すとおもいますか?
...そう、これはサチヨさん!
サチヨさんのことですよ!! 」
と大声で放った!!
エエエエッ!!!
ああやっぱり!!
ああやっぱりわたしなのですか!!!!
あらゆる神々が段取って、
わたしをここまで追いかけてきた!!
すべてわたしが悪い!!!
廃墟ビルでキャバレーなんか、
最初ッからダメなんです!!ゆるしてください!!
・・・・・ と真ッ青になっていると、
それは 「 サチヨさん 」 ではなくて、
「 社長さん 」 のことだった
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とはいえ責任所在がわたしであることは、
当然わたしははじめから自覚しているわけだし、
これまで建築業界のあらゆる面において、
建築建設と消防とは密接な関係にいつもあるのを
よく知っているわけだし、
図面も施工も工事での火気取扱も、
どこにおいても防火における教育や訓練など、
そんなものはさんざ受けてきたわけだが、
このたびの、『 防火管理者講習 』 においては
一言一句、各行、各センテンス、各セクションのすべてが
槍のように生々しく突き刺さってわたしを捕らえ、
活きたあたらしい言語として、響きつづけた
*
だいたいにおいて
消防だの訓練だのというのには、
” 逃げる ” とか ” 揉み消す ” とかいう、
( 「 揉み 」 はいらねえかな、「 揉み 」 は )
なんとなく人生観におけるキーワードとしては相容れないような、
無意識下に、そんなイメージが
あったとかなかったとか...
法規なんてのは
職人からしてみると、ウルサイもの、
不自由なものでしか、なかったろう
でもそうじゃなくってこれは、
責任精神に則って積極的に予防するものであり、
個人個人の意識、義務、管理を押し上げ、
徹底的にひとを守る、
総じて国家を守る、ものであった
( イヤまじで )
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これまでは
いくら教育があったにせよ受け手の意識がまだまだ、
所詮、ひとのビル、ひとの建築、ひとの会社、ひとの工事、
ひとの歴史、ひとの運、
に過ぎなかったワケだ、という、
みずからの、
かげろうの如き正義感を呪った
わたしはテキストを徹底的にむさぼりながら
広い屋内訓練場の隅でひとり、
ぼうぼうと燃えさかるような、冷えびえと凍るような、
なんともいえない強いエネルギーに乱される心地で
髪の毛が立ったり、鳥肌が立ったりしていた
*
あんまり緊張してやるせない気分になり、
昼休みのあいだに、
函館K消防へ、
「 いま講習を受けています 」 と、
なんだか、すがるように電話した、
このことの意味は、
あのひとたちにしか理解されないような気がしたので
そうしてやっぱり、あのひとたちのやさしい物言いに、
どうにも泣いて謝りたくなった
( 浪花節なんかではなく、
、、ととと逃避として、、、、、 ハッハ! )
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あのビルが、
必ずや火事か地震かテロなどの災害に遭う、という心底、
臨場感のある危機をもってしか、もはや、
わたしには考えられないものとなり、
( もちろん最初から想定はするが、
それまでとは段違いに決定的なレベルで! )
そしてそこにわたしは数百名のいのちを招き入れ、
あらゆる対策を講じても講じても終わりのない責務によって、
イエスという孤独な消防長と
協力してくださる消防のみなさんと
いらしてくださるお客様と
応援やお手伝いに来てくださるご近所のひとびと、
徹底的にみなさんを、お守りしようとおもいます
*
あの廃墟の暗闇で、
勝手知り、眼が利くのはわたしだけ、ではマズイので、
たまたま居合わせた方々が、
わたしの、マジな任意でおこなう避難訓練と重なったら、
どうかみなさん、ご協力くださいませね、
頼む頼む、亡霊共々、
土下座で頼む!!!
かしこ
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