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東京へ着いてからの優先事項は
身体のメインテナンス
函館で
寝食を忘れた1ヶ月が続いて
タンパク質が自家労働、
すっかり痩せ細ッてしまった顔と身体のために
いま毎日、肉食スタイルで食事し、
それだけでは飽き足らずにアミノ酸パウダーと
プロテインも摂る、摂って筋トレに出かける
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昔、クライストチャーチにある小さな街の
木造ペンキ塗りの素朴な学校で
ヘレナだかパロマだかアンだか忘れたが
そういう名前を持ったキュートな女教師が午後、
「 わたしはジムへ 」
といって颯爽と街へ出て行った、
わたしはあのとき、
大人になったら仕事の最中でも
「 わたしはジムへ 」
といって出かけてゆく女になろうとおもったんだった
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2007.9.23.予定
函館旧花街・大門へのオマージュ
【 一夜限りのグランド・キャバレーの灯 】
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これについて、
便宜として製作段階からドキュメントするために、
途中からで残念だが、NHKさんとは別途、
キャメラが付いてまわった
( あえて ” キャメラ ” と記したいんです )
・・・ なーんていっても
自前のハンディカムみたいなヤツで、
使い方もほとんどよくわからないままに、カンで、
しかたがなく自分でまわすのですが、
ひとも含め、
ものごとというのは、
オンのキャメラの前ではなかなか
おもしろいことは起きないのです
キャメラをまわしていないときばかり、
ステキにおもしろいことは起こり続けたし、
すばらしいエピソードが聴けた、
ということ
*
たとえば
キャメラを設置して作業しているとき、
想定外の登場人物があらわれたりして
シメタ、とおもってあとで再生すると、
まったくのファインダ外のズレたところにいて、
なにも映っていない、
なんてのはザラだし、
ああ! 今の撮りたかった、
ちょっとそれもう1回云ってくださいよ!! とか
ああ! もう1回、今の位置に戻ってください!!
おなじ格好で!! とか
ああ! キャメラ持ってない!!
取ってくるからそのセリフまだ待ってて頂戴! とか
残念ながらそういうふうには、
ものごとはゆかないのです
だから
出来上がる ( かどうかはわからないが ) 映像は、
ばかみたいに自作自演だし、
なにも起こらないつまらないシーンばかりだし、
きっと、どうにもおもしろくないものとなるでしょう
これは、
ブログには書かれていない ( 書けない ) ことのほうが膨大で、
かつバツグンにおもしろいことが起こっている、
というのと等しい
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などとブツブツ考えながら
函館で撮ってきた映像を再生してチェックする
*
退屈な大門の、午後の通りを
意味もなく撮ってあったのを再生しながら、
やみくもに覚えたクロースアップボタン※ を
しきりに多用してみたりなんかして、まったくばかみたいだ、
なんだこんなの、とおもっていると、
( ※ それまでは、クロースアップしたいときには
歩いてキャメラごと迫り、反対に引くときには、
文字通り歩いて下がって撮っていました、ハッハッハ!
どうりで不便だった )
映像の片隅に映った老女の声が
ふいに聞こえてびっくりした
彼女、
そこにいた近所の人に話しかけたのだけれど、
なんていったとおもう
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「 ワシもやめる時がきたサ 」
たぶんわたしはこの日の、
あまりに退屈なこの通りを撮っておいてよかった
こうして、
やめる時が来るんだ、
こうして、
わたしたちのすぐ横で、
やめる時がささやかれているんだ、
気付かないままに
こうして、
たくさんのやめる時が、大門には、来たんだ
知らないうちに
わたしが喜んでもらいたいのは、
観光客なんかより先に、
どうあっても絶対的に、
このひとたち、彼等のほうなんだ
わかるかな
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街は、
かつて当たり前にあったが
ともすると、失くなってしまうものだ
可愛い可愛い、わたしたちの函館
世界は偉大、
けれど、こと函館に関しては、
わたしたちにすれば、どうにもかわいいもの
だよね?
*
止まった時間と
行き場のない記憶とを
せき止めているものはなんだろう?
わたしはそれを、探したいのです
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