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いかにもうつくしい朝、
まるで土地がすべてを開放し
あるいは燦爛させているような朝、
協賛いただいたワインを引き取りにゆき
そのまま2つの地域での営業回りを開始した
底なしに晴れていて
窓も通用口も開け放して
みんなで朝の仕込みをしている厨房はいつも
懐かしいようなあたたかいような機嫌の好いような、
とてもファミリアな空気に満ちている
さてどこの店も
そうして陽気に朝のひかりを室内に取り入れて、
その日いちにちの準備をしているのを、
車でぐるぐるとまわりながら絶賛のきもちを持って眺めた
キラキラ、ガヤガヤとした往来、
この街がにわかに活気づく朝、
朝を、こんなにすてきに過ごすべきなら、
そう夜はにぎやか過ぎなくったっていいや、そんな考えに偏った
すばらしいな、この街に還ってもみたい
谷地頭をめぐってから
お客様からご予約のあった 【 大沼 Hot Ride 】 の
チケットを預けに、指定したジャズ喫茶へ
( 各店舗にあらかじめチケを預けさせていただくのは
気分的に店側の負担になるとおもい、申し出のあった所にしか
チケの配布はしておりません、お電話ください )
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ぐんとせまる函館山のみどりと
海の、気配
わたしはかつて学校を過剰にサボっては
この界隈をあるき尽くし、この地面に愛された
昔、
この店に、お母さんと呼ばれた店主が生きていた頃、
まっくらなスピーカのブースで
いろんな講釈をとりとめもなく聞いた、
それに付随する彼女の、
アナーキーかつハートウォームなピアノも
( これは有無を云わせずにライヴ料として50円徴収された )
亡くなった彼女の写真が、
いまも店内のピアノの上に置いてあり
それはわたしにとっていつまでも
この店で
雨の紫陽花の季節を過ごしたときを所有させている
きょうもこの街の朝のひかりが
小さい窓から斜めに射し、ギターの音と重なる
ひとびとの、なんという人生
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この晩は
東京から大西順子(P.)がカルテットを響かす、
函館山の天辺が会場だが
わたしはついでに時刻を合わせ、
彼等のリハを覗きに、車を駆って山を登った午後
ベースのヨネキに手を振って知らせ、
ドラムスのダイリキ氏も
わたしに気付いてくれてニッコリと合図してくれた
【 大沼 Hot Ride - ほとりで 】 の準備に
駆け回っているわたしの日々の、
一晩だけの贅沢なオフとして今夜を設定してあり、
もうずっと前から身体が粟立つほどワクワクな晩
今夜は
セカンドファミリー夫妻と、
大好きな友人達との大勢で出かける
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思うに音楽は
誰と聴くかが大きな問題
これまでひとりで聴いていた音楽を、
こころよくシェアしあえる極上の仲間がいると、
その幸せは膨大に増幅することを知った、
その仲間と、今夜は過ごす
最高にハッピーを喫する晩として、
わたしいまから声を張り上げたい気分でいるってわけ
ヒャハハ