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やりたい遊びがたくさんある。
もちろんそれは
酒を飲むとかスポーツとかギャンブルなどのことではなくて
おもに
建築物や空間や音楽や時間や視覚や驚き、
友だちやひとのつながりや不思議やらを駆使したもので
なんというか世界の薫りを楽しむためのものだ。
あちこちに、
小さな仕掛け爆弾を見つけるみたいにだ。
*
バタイユの友人である思想家ロジェ・カイヨワによると
( 遊びについて )
時には職業活動よりも大きなエネルギー、
伎りょう、知性、注意力の消費を要求する。
この自由、この強烈、それによって刺激される行為が、
致命的な結果を生むことなしに、
分離した世界のなかで発展するという事実が
遊びの文化創造性を説明する - 。
とある。
そう、わたしは、遊びに夢中。
*
いつからか、
封印されているノートが何冊か。
これらには
噴出することばと絵と図面、抜粋にメモ、夜の夢の走り書き、
カレンダーと計画表、空想に仕掛け、雑念、集中、
そのような、あらゆるものごとにペンを消耗し、
または珈琲をこぼしたりしてあったが
ここ数年、いちども書いていない。
あまたの現実に打ちひしがれて、
その現実的な方へと成長を遂げたのだとおもいたいがまったく嘘で
脳内にストックされた支離滅裂な空想計画が多々、
横たわっていることに最近気付いている。
支離滅裂と謙遜したがじつは
これもまったくの嘘で
そこにはまるでうつくしい秩序と旋律と細部とによる
おおきなオデッセイ的デザインがある。
( 謙遜をよしてしゃあしゃあと褒めちぎった。 )
( なぜなら )
これらはわたしが思いついたことなのではなくて
世界のほうでわたしに語りかけてきたものばかりだからだ。
世界は、否宇宙はフラクタルだから
万象とおなじことがこの身のうちでも起こるのは当然のことで
ものごとはすべて、呼びかけあっている。
*
ベーシストのヨネキが本田竹広氏にいう。
- この石を無限大の速さで投げ上げたらどうなるか?
本田竹広氏曰く、
- その石はそのとたんここに戻ってくるのさ
魂の大きさと宇宙の大きさとは同じなんだ
*
なぜわたしは
あのノートを閉じたのだったかとおもう。
その必要はまったくないのに。
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青山のジャズクラブ、Body & Soul へ
骨董通りに車を停めて
移転してのち初めて先夜、足を運んだ。
そう、そのヨネキに用があったので。
彼のベースの中に頭を突ッ込む感じで
高いスツールに身を曲げる。
メルティでマニッシュに際立つリズムと。
セシル・モンロー。
大口純一郎。
大野エリ。
都会のジャズクラブは当たり前にクールで
わたしはそういう空間性には飽きているが
Body & Soul その存在自体には思い入れがあるので
けっこうワクワクする。
*
2ステージ後、
23時半に演奏を終えてからようやく彼がわたしに気付き、
笑いが止まらなくなって、
ヘイなんだなんださっちん、
俺これからまだ西荻のアケタへハシゴだよう、
・・・ といってはしばらくカウンタでの会話、
それで別々の車で西荻窪はアケタの店まで移動し、
深夜12時スタートの、もう一本の仕事にわたしもかぶりつく。
一転して、くるみさんとのワイルドなデュオ、
その夜はヨネキ、ベースを抱いて全部で5時間半にもわたる、
握力殺しの超絶プレイ。
ヒャッハッハ
夜明け、わたしたちはあの小路に降り出した雨に順応して
それはとても心地がよかった。