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もう木戸は閉めました、
と云はれて取りすがり、
「 エエエエエエッ!!そんな!どうにかお願い!
このためにわざわざ北海道から来ましたのです!
お願いお願いお願い!! 」
、、、、 と叫ぶと、
ちょっと待ってくださいといって
上のほうに電話してくれているその浅草のひと
*
ところがなんだかおかしいなあ、
浪曲の定席なんて、最初ッから居なくても、
どこからでもフラリと寄るもんでないか?
木戸なんか閉めるんだっけか?
とおもって見渡すと、
どうも時代劇みたいな化粧とカツラして
へんな踊りのポーズを取るひとの写真や絵が
やけにやたらと飾られてあって、
時代劇的宝塚ネームみたいな名前が羅列されてあって、
さながら温泉旅館の広間の看板みたいなのばっかし
おかしい
きょうの定席のトリは、
浪曲協会の会長のはずなのに
そのような名前と雰囲気はどこにも、見当たらない
*
- ちょっとお姉さん、ここは木馬亭・・・?
「 違います!!
それはお隣ッ!!! 」
- あっそう・・・
それはどうも・・・
と謝って
” 木馬座 ” の木戸前をスゴスゴと去り、、、
・・・・・ 隣の ” 木馬亭 ” へ入った
*
ジョーとブルースで有名な山谷( サンヤ ) のあたりで
とある用事を済ませたあとに、
おっと、ついでに寄り道チャンス、
と思い立って浅草へ寄ることにしたんだ
便利な携帯電話で調べると、
ちょうどすばらしく運のよいことに
最近になって聞き知った名前が最後にふたつ残っていたから
びゅんびゅん飛ばして浅草寺、雷門へ駆け込んで
五重塔の脇を折れた
*
いやあ
平日の昼間、
酒呑んで、あんこ玉だの人形焼だの頬張るひと、
何時間も何時間も石灯籠に腰掛けて
おんなじメンバーで話し込む ( というかそこに寝泊りする )、
サンヤ色または地面保護色の男たち、
ガイジンたち、参詣人たち、ただ居るひとたち、
見るからに変わったひとたち、
住民と商売人の激しく盛んな往来、
犬猫の往来、
ああ東京はすごいとこだとびっくりする
ヒマなひとも、
忙しいひとも、
同時に溢れかえっておんなじく、
外にも内にも、どこにでも居る
*
浪曲といっても
ジャズのレコードみたいに
何度も何度も繰り返し繰り返し繰り返し聴き、
聴いても聴いても聴いても聴いても、
いっこうに聴き飽きないどころか味わいが増すばかりは
やっぱり広澤虎造ばっかしで
どうしたって他に興味が持てずにいるですが
そういうわけにもゆくまいとして何度か、
東京にいる折には、
なるべく寄席や演芸場へ、ところどころ出向く
*
今回のテーマは、
来年の、サクセンカイギ社新春企画、
『 函館大門・浪曲喫酒 』 での
高座をつくる内装の、その造作の研究
浅草の
老舗の素朴な内装を舐めるように見て
感じ入りに感じ入って、しきりに感じ入って、
どういう内装にするか決めた
あとは消防法にフィットするように ・・・
*
函館からY君、電話口で叫ぶ
「 またコレ消防カンケーあんのッ!!
イヤーンいい加減にしようよ ( 懲 )!! 」
*
・・・ さあさあ虎造だよ!( YouTube )
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