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生まれ変わった我らのうつくしい半島 ドンドーン
出尽くしてしまった世界中の悪しき膿み
民主主義はあるべきかたちへ
ドーン ドンドーン
環境問題はクリア
失業率ゼロ% ドーン バリバリバリ
神々の声 ヒューン バリバリバリ
気高き営みへ立ち返る大和の民
エトセトラエトセトラ
おめでとうおめでとう、誉めてしんぜよう
これからは、すっかりこころおきなく
またき生をあたらしく謳歌するように
ドーン
ドーーン
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・・・・ という夢をみた、夢か?
わたしは眼を開けたまま
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その夜は
緑の島からの打ち上げ花火 -
*
函館に着いてすぐの、この花火の夜、
N氏のクルーザのうえから
波のうえでエンジンを切って静かにたゆたう感覚に
心底シビレながら
背後を漁火の強烈な灯りに照らされて
青く浮き上がる函館山が擁した街の灯りを眺めるとき
どこからかこれらの声を、
ハッキリと、聴いたような、
なにかこのうえなき祝福をあじわったような、
花火のドンが
波を伝って船ごと身体をビンビン震わすとき
打ち上げられては降りかかる、
とてつもない祝福を傍観しつつあじわったような
しあわせなカン違いまたは
奇妙な、夜の白日夢
なんだったろうあの声は
*
陸ぎわの大勢のひとびとの黒い影と
FM局のミナカタDJ氏の声に
群集のさんざめく嬌声が重なって海上へ流れてくるね
威嚇みたいに横切る海上保安部の艇
電飾を散らした遊覧艇
おもいおもいの位置で浮かぶクルーザ
うつくしい半島
わたしのドカタ用携帯では写し切れないみたいだ
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なんとなくいつか
あの声をもういちど聴くことがあるような気がして
恍惚感がいつまでもなくならないので離れがたかった
夜、海から函館山を臨むと
祝祭の島のような、
あたかも別天地にみえるよ
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