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混沌にみえてじつは
あれらは愛に満ちた怒涛の秩序
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シン・チャオ、
タダイーマ
ワンダフル・カオスから
函館に帰国していますけれどもまたすぐに
こんどは東京へ戻るのです、
、、、がまたすぐに函館へ戻ってきます
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インドシナのじっとりとした湿度
と
おなじくらいの密度で
わたしたちにまとわりついたのは
人間であることの根源と
それにともなった非常にファミリアな、ある気分
これが
滞在中ずっとわたしたちを支配して
全員がおなじ気分をシェアしたようにおもう
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上機嫌と、湿度とスパイス
泥にまみれた裸足の隣にあるフランス文化
かすかな植民地の匂い、
爆発的な近代化
そして人間であることの、崇高な芯
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函館滞在が長いうえ、
かつ動きがめくるめくハードだったところに
いきなりヴェトナム行きが差しはさまったのは
なにか恵みのスコールのような機会だったし実際に、
激しくハートウォーミングな出来事で
リラックスと非日常と
あたらしくて前向きな刺激とに
ほんの数十時間まぎれ込んだだけで
次への視界がグンと拓けるおもいがする
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ワンダフル・カオスにどっぷり浸かっているはずが
これはカオスではなくて
集団としての、いち生命体を成す、
とてつもなく大きな秩序に満たされた、
ひとつのあり方だということが次第にわかってきた、
人間界というよりは、
人間界から見る自然界、とおなじにおもえた
地面から生えているひとびと -
路上のクラクションは
24時間ひっきりなしに喧騒しているがあれは
混沌を生活する生き物としての、
大人同士のすこぶるやさしい会話でもあったろう
日本にいると
いちばん物足りなく、
欠如しているようにおもえる部分が
あの国にはたくさん活きていた
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蛇足ですが、
現地滞在中、
売買も交渉も挨拶も雑談も、
しっかり覚え込んでいった言語で
我ながらすばらしくクリアできたというのに、
( 徹底して日本語のみで押し通したひともあった )
ヴェトナムといったら
とくに好きでなくても
誰しも食べなくては気がすまない、
『 フォー 』 だけはなぜか最後まで通じなくて、
1本たりともフォーにはありつけなかったし ※ 、
よりによってプロのバイヤーでありながら
戦争市場の混沌で、
日本製ブランドのつまらないコートなんかを
あの熱気に魔が差して、だまされて買ってきたひともあった
( 彼は徹底して英語のみで押し通した )
※
せっかくだから
フォーについて教えてあげますけどね、
「 ふぉー! 」 「 フォー!! 」 「 フォーッ!! 」 と
いくら強く太字で叫んでも通じないのですが、
母音の果てしなく難しいヴェトナム語においては、
「 ・・・ フォア? 」 「 ・・・ファア? 」 と、
やたらと脱力した曖昧な感じにつぶやかないと、
フォーという、あのメニューにはたどり着きませんからね
わたしたちがあちこちで
しきりに叫んでいた、
「 豚肉フォー! 」 「 海鮮フォー!! 」
「 Like some noodle !!pho !! 」
・・・・ などなどというイントネーションは、
これは、
「 豚肉通り! 」 「 海鮮通り! 」
「 麺のような道! 」
というような意味になるそうです...
「 、、、ヘム・ガッ・ライ ( またね ) 」
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