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万物の尊い流れ
休まずに降り注ぐ万象からの問いかけ
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すべてが明暦なる、
秋まさしく秋!!
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過日、
大門老舗バー、” 杉の子 ” の
急逝したマスターのお別れ会に参席させていただいてから
おなじく、かつての花街大門の重鎮、
老舗ラーメン・汪さんの密葬も済んで落ち着いている頃とおもい、
こちらも焼香に訪問した
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このたびのキャバレー未完成企画において、
そのこころは元来、
彼らのような存在を通奏低音とした、
大門へのオマージュでありたかったものなので、
わたしにとっても彼らの死はすごくリアルだ
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・・・ アレまあッ!!
誰かとおもったら
さちよちゃんあんたちょいと、
気ィばッかり遣ってるんでないよ、
なにしに来たの!
あんた、うちの婆ちゃんなんか知らーんべさ
なんもわざわざ来なくったっていいんだから
ホレまったく、まだ痩せたまんま、未だに忙しいんだべさ
イヤー可哀想にねえ、だけどワタシなんか
いッくら寝なくても、いッくら泣き疲れても痩せないよこの通り、
ガアッハッハッハ!!
それにしてもキャバレーよかったねえぇ!!
おばちゃんねえ、焼香にいらした○○さんに、
あんたさちよちゃん頑張ッてるんだからカネ出しなさいよ次は!!
、、、ッて尻叩いておいたからね!
口のほうはワタシにまかせなさい!
アラッ!それはあんたもしや香典かい
オヤーいらないいらないあんた、ばッかだねえ
エッ何、大門の仁義?
あっそう、仁義とあらば頂戴するか
仁義ね
ちょっとーー!!( 階下へ )
ホレさちよちゃんから仁義だよーーーッ!!
「 ハイヨー... 」
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遺影におはしますは
かつての街の女傑
( アッ、上の画像は別のひとです )
遺影に写っている洋服に合わせた色合いの、
要するに葬儀の席には似つかわしくないドハデな花々と
ボルドー色のビロード布やら、
ピンク色の骨壷やらに彩られた、
密葬とはいえやっぱり普通じゃない葬儀だったと、
涙はおさまったが
口は相変わらずおさまらないおばちゃんから
ものすごい勢いでいろいろな言葉を浴びる
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街のあちこちで、
口使いの荒い彼女の姿を見るのです
手芸屋、カメラ屋、ケーキ屋、薬屋、靴屋、、、
そこかしこの近隣の店内に街角に、
ペラペラと誰にでも同じ調子で
相手かまわずまくしたてている様子の無言劇を、
通りすがりの車窓から発見しては、
よく吹き出した
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とにかく
このたびは大門、
皆さんの土地でやらせていただいて
本当に本当に、
ありがとうございました
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夜は、
老舗バー杉の子が
故マスターの名残り酒に2時間だけ開店するというので
表敬して訪れ、
ハイボールを1杯ごちそうになった
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カウンタの隅で
まるでルオーの画みたいになって
店の古い壁に溶け込んでは、
さめざめと涙を流す男の顔とその深い皺
店のざわめき
藤原義江のテナー
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翌朝、
その1本手前の通りにトラックが付き、
また一角に新たな解体工事の手が入っているのが
通りがかりに見えたとき、
わあッ!! と大声が出てじぶんでドッキリし、
ただちに車を停め、
しばらく黙って眺めたあと、
車を降りて走って近寄る
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キャバレー未完成企画準備段階の
挨拶まわりの頃に出向き、
主である老夫婦に
キャバレーのプレゼンテーションをしながら、
昔の話を聞かせてもらったり、
とんかつを食べたりした小さな老舗、” おんどり ”
開口部がすべて取り払われ、
内装をバラしている職人がひとり
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「 兄さんオツカレ、、、、壊してるんだねえ
ちょっとキャメラ回してもいいかい 」
「 うんいいよ、なんだ姉さんこの店好きだったのか?
もうここらゼーンブ、なくなるんだそうだ 」
「 フーン... 」
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またきのう、日曜日が来た
やけに日曜ばっかりだ
じれったいことに
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企業も夜の店も官庁も、おおかたが休日なので
実質として不能となる、
お礼まわり( ← まだ終わらん )や
その他の計画は
じれッたいが思い切ってオフにした
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曇天の好都合で
朝から湾岸を走って修道院へゆき、
来年の海峡企画のためのロケハンとするが、
やけに天気がよろしくなってきたので
なんとなくつまらなくなって
予定していた、
眺望ルートへの登山( ルルドよりもずっと上 )
をよして、途中で引き返す
ここは
ルーマニアかどこか東欧の森のごとく、
曇天かせいぜい薄陽の、暗い空がいいんだよ
( 勝手なことを云わせてもらうと )
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それで
ここ数ヶ月でまた
必須勉強事項が溜まっていることであるし、
ようやくにしてタップリと、図書館に篭ることにして
両脇に高々と本を積む日曜日
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海洋で栄えた函館
を鑑みる
もういちど、
数多の船団や
色とりどりの大漁旗で埋め尽くされる海峡を
あなたは
見てみたくはないかい
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今回、古き大門をテーマとして歩き回ったおかげで
わたしたちの地面には
遠く海洋栄華のスピリットが
そこかしこに気脈として漂っているのを感じる
ここは港町
時あたかも函館港は
2年後に開港150周年を迎える
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来年の企画は、わたしとても海峡がテーマだ
詳細後日!
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