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あれやこれやでくたびれていると、
ちょうどよく昨日のオフに仲良しのY.から誘いがあった
誘いは
駒形でどぜうを食おうという内容で
それは飛び上がるほどにうれしかったのですぐにOKといい、
昼間眠ってから夕方に起き、
車を出して、わざと吉原を通り、浅草へと向かう
*
どぜうを喰らうなんて久しぶりだ、
なんたってどぜうを食おうよといっても
なかなか快諾するひとが少ないものだから
わたしは駒形で食うどぜうを
なにしろ愛しているから心底ウキウキして行った
どぜう食らうは二人流しの我々
どぜう食わぬひとに語るなどぜうの味、って
歩く途中に
古い小さな藪そばがあって
ああ藪だ、ここだよな、ほら江戸ッ子がさ
死ぬまでに一度でいいから
つゆをたっぷり浸してそばが食いてぇ、ってとこだよな、
へぇそうだそうだ藪だ、ここの藪だ、
じゃあ、どぜうの前にちょいとそばをやってから、
ということになって、
乙なことに藪の暖簾をくぐる
くぐる、ってことだけでも
まるで我々が、生粋の江戸ッ子であるかのような
誇らしい気分になる、ここの江戸式のファサードは
数軒先の大店の、
柳に飾られたどぜう屋の大きな黒いファサードと並んだって
ちっとも引けを取らない
背後に隅田川
隅田川 柳流るる 色恋の 、ときた
へえ、続きはなんてんだい
なんだっけ、ぬしと朝寝がしてみたい
そら違わあハハハ
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藪そばのあとで
畳のうえにいくつも敷かれた一枚板のうえで
縁側の夜の庭を覗きながら
なんども鍋を追加してどぜうを食べた
死ぬほど長々といつまでもどぜうを喰らったあと、
ご自由に、の長ネギの刻んだのをさらに薄鍋に山盛り、
山椒と唐辛子でそのネギばっかりを、
いつまでもいつまでも食べた
*
イヤ浅草はいいね、
昔この辺はああでこうで、、、
あそういや、ここらの職人から3年前、
口上に乗せられて馬毛の歯ブラシを買ってそれ以来
すっかり、それしか使う気がしないのよ、
あここのオムライスがすげえうまいんだって、
あこの路地の先にさ、、
とてんでに喋りながらロック座の前に来て、
せっかくの浅草六区、ってことでストリップでも観て、
酔いをさましてから帰る
スモークと煙草とで靄がかかり、
異様な匂いに満ちたハコで次々と幾人かの女の裸をみる、
ひとしきりのちに、なんとなく出ようとすると、
「 オヤあんたたち
フィナーレ見ずしてストリップはないだろうさねさぁさぁ 」
と老マネジャーに引き止められたのでまた出戻り、
フィナーレといってもさほど変わり映えのないステージを
あと3本ほど続けざまにみて、
( なにしろみんなすっかり全部さらすんだから )
いよいよ堪能して出てきた
*
木枯らしが吹いたとて
まだ生温かい夜の風を通す仲見世通りに
往来する猫と老人
ミシェール・モルガンの靴音
じょうじょうと、隅田川