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東京へ戻ってすぐに、会いたいひとがいた。
好きで好きで好きで、たまらないひとであって
だけれどもどうしても出あわない。
わたしはそこに行きたいのに
どうして行けないのだろう。
たぶんステージが違うだろう。
あんなに周りにたくさんのひとびとが
すでにあるというのに。
わたしはあと、どれくらい、何をしたら。
たぶん彼らは、
好きだからといって一方的に近寄る者に、
いつでもニッコリ微笑みはしても、
決して出あうことはないだろう。
わたしもまた、
彼らに何かをシェアすることができる者であるように
彼らに出あったときに、
じぶんは微塵もみずからを卑下することのないように
*
わたしたちは出あうでしょう、
どんなに歳をとっても
どんなに時間がかかっても
会ったときにすっかり互いにそれとわかる笑顔で。
こころには、なにも入れて置かずに。
*
立てばまた 茫漠の地平
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長い留守、
気になっていたことのいくつか。
*
【 確定申告 】 と 【 筋トレ 】
スミマセンでした。
取り掛からせていただきます。
【 ミール・リプレイス 】
今日からまた本腰。
東京ボディへ、すみやかに戻す。
2食はプロテイン食、強化。
悪かった。
アイムソーリー、プア、マイ・ボディ。
【 仕事のミーティング 】
お待たせしました。マジで御免なさい。
深夜にそちらへうかがいます。
【 空港の工事関連 】
ようやく本人が出バリます。
【 LPの整理 】
果たしてじぶんは何をもっていたのか。
マクリーンのは、何があったっけ!
たび重ねる引越しでダメにしたターンテーブルのこと。
次はどれを選ぼうか。
【 部屋の掃除 】
これは問題ナシ。
【 ロマネ・コンティ・クラブ貯金 】
今日500円入れました。
いつ飲めるのか。
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親方と話した。
*
刑事が来たよ。聞き込み。
人殺しだって。
それがトッポいヤツでさ。
- 人殺しが?
イヤ刑事が。
頭はオールバックでさ、
白と黒の縦縞のスーツに、
ほら、ナントカロッカーみてえな底が分厚い靴。
- ああラバーソールの。
( イソヤ君みたいな? )
それとヒゲ。
咥え煙草。
- 刑事が?
そう刑事が。
沖縄のALC屋だって、Sachi、知ってるんじゃないの。
- 刑事?
イヤ人殺し。
- そりゃあ知ってる。
人殺しを?
- ちがう沖縄の職人。
あちこちにいるじゃない、沖縄のALC屋。
だよなあ、現場にいる沖縄人て目立つもんな。
でも俺、知らない。
- ショックだねえ。
だろう、
こうしてまた、【 やっぱりガテン系は悪者 】、
って云われちゃうんだよなあ。
世間様から。
職人はみんなイイ奴なのになあ。
( あの左官屋も含めて。 )
- そうよねまったく。
何千人って職人知ってるけど、全員好きだね。
( あの鳶職も含めて。 )
そいつ、あ、人殺しね。
ぜったいにパンチパーマしか似合わねぇ顔してるのに
サラサラロン毛とか七三分けとかの写真作ってるんだぜ。
( でもモヒカンなどは、なかった。 )
刑事も大変だ。
俺が犯人になったときには、
ぜったいにそんなもの作られたくない。
このヘアスタイルでよろしく。( 天パ )
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行きたいところがある。
なぜそれを表現できないのかとおもう。
いつも、おもう。
まれにふと、その欠片を見つけることがある。
これ! これなのに、
わたしはそれを、表わすことができない。
世界、
- そのなんと広い事実。
眼前にある山を、
わたしたちはいつも、見ることができない。
眼前にある山の、
そのあまりの巨大さのゆえに。