※ つづき < in 大間 > ※
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前夜由来の二日酔いにかさね、
その日さらに腰の重かった理由に、
” テーシャッツ ” 着用の件がある
*
ここ対岸のオーマには、
来年の 【 青函帯2009 】 の件、のみならず、
なんたって近隣の仁義に参ったのだから、
あの、” なぐすなぢゃテーシャッツ ” を着用し、
メッセンジャーの一員を担わねばならない、
・・・ と、別に頼まれてもいない勝手な自覚をしていた
*
『 大間-函館フェリー航路継続! 』 を叫ぶ、
オーマ発信のメッセージだが、
( → なぐすなぢゃテーシャッツと、彼らの叫びは こちら )
ヘンな色に、ヘンな絵が描いてあり、
ヘンな字で、「 なぐすなぢゃ 」 などと描いてあるシロモノ
このようなもので
存続の助けになるんだべかということはさておき、
( あのひとたちはよくテーシャッツ作戦に出るんだ )
対岸でがんばっているオーマのみんなへの、
心ばかりの応援だ、
なーんたって函館は、フェリー問題に対して、
ビタ1文出していないし、
( といってこれは、ほんとうは、国の出番だよ国の! )
、、、では今のところ個人でなにができるかといって、
函館で ” ガンバレ大間! ” などという
横断幕を作ったりなんてあり得そうもないのだし、
そもそもそのようなことを、
函館のひとに呼びかける勇気はないし、
ハ? とか云われるし、やってどうなるんだと聞かれたら
ひとことも答えられないし、
かといって広島のフェリー本体へ
テーシャッツを着て座り込み襲撃、だなんてアレだし、
国はというと、
他にも弱者的過疎地はあるしモゴモゴ、、というし、
函館市長にピーチクと云いに行ったところでまた、
きっとロシアのことで忙しいし、
「 僕はさちよちゃんより長く生きている 」
とか云われて終わるし、
*
だからせめてわたしは先月、
このテーシャッツをこっそり通信販売で
ひとまず2枚だけ購入し、
東京でさばき、同時に送られてきた、
『 フェリー存続署名運動 』 の紙に、
ひとまず10名の仲間の名前をただちに集めて、
オーマへ返送してあった
( テーシャッツは評判が悪くて、
” 自己営業の鬼 ” であるわたしにも
マッタク売れなかった )
*
とにかくこういういきさつをもって、
わたしはすこぶる恥づかしいメッセージ・テーシャッツを着、
勇気をもって昼前に会場へ向かうが、
さいわい寒かったのでコートを着た
コートを着たが、
せっかくのメッセンジャーなのだから、
ボタンを全部かけてしまうことは自粛し、
前を、風に吹かれていった、
が、どうにも、
それを着ているだけで非常に恥づかしい心持ちになり、
誰もあるいていない漁村の通りをゆきながら、
ときどき前を手であわせて隠した
*
とにかく会場へゆけば、
少なくとも地元オーマのひとは全員、
このテーシャッツを着ているんだろうとおもい、
そして心ある、函館からお祭りに来た来客のなかにも、
これを、応援に着て来るひとびとがあろうとおもい、
会場へついてあたりを見渡すと、
驚くべきことに、どこにもそんなひとは見当たらなかった
*
祭り会場を4往復ほど行ったり来たりしたが、
もう心底羞じ入ってしまい、いたたまれなくなって
会場でその他の、【 マグロ一筋 】 テーシャッツ
( マグローキンではなく、まぐろひとすじ と読む )を
売っている、現地の、
見知らぬまちおこしスタッフの女性に、
「 ちょっと、、、 」 と寄っていくと、
「 ・・・ 着てますね 」 と指摘される
コートで隠してるのだけど、クビ元から少しでも
あのヘンな色が覗いていると、暗号のように、
知っているひとには絶対にバレる、
という特殊なキツイ青色だ
なんて迷惑な色か!
ひとをこんなに自意識過剰にさせるなんて!
コートの前を、そっと開けてみせる
そしてこの、迷惑極まりないデザインを作ってくれたことを
なんどもしつこくクレームしながら、
( このひとたちですら、着ていないとは! )
会場のはずれにある古い喫茶店に逃げ込み、
インベーダゲームがテーブルになっている席について
珈琲を飲んだ
S氏もひどく笑う
なんだか、露出狂がびくびくして
コートの合わせ目を気にしているみたいな感じだ
*
気を取り直して
ふたたび会場をあるくが、
二日酔いでマグロなんか見たくも食べたくもないし、
優雅な昼間のビールだって、見たくも飲みたくもないし、
函館から来てわざわざ
イカやホタテを選ぶというのもなんだし、
とにかくひたすら会場を何往復も、した
午後イチバンの帰りのフェリー時間まで、
時間がありすぎるではないか!
*
スタッフジャンパーを着ている兄さんたちも、
驚くべきことに、このテーシャッツを着ていない
3人の男子スタッフに近寄った
「 オオ!
テーシャッツ着てくれでありがとございますう!
ワハハ!なんで着るハメになったんすか! 」
などと云われて通り過ぎると、
うしろからS氏がゲラゲラ笑って云う
「 さちよ( プゥップ! ) 」
*
「 あっちの兄さん達、おまえの行ったあと背中に、
( オエイ、あれよぐ恥づがしぐねぐ着てだもんだな )
、、、って云ってたぞ 」
なんですって!!!
キャーひどい!!あんただぢ!!
さらに、
おみやげ売り場の係のなかに、
前回、フェリーの中で知り合い、
フェリー問題を切実に話し合った大間町役場のH氏もいた
「 ああっ、こんにちは H氏!あなたもこのテーシャッツを
着ていないではないですか! 」
「 オゥよぐ来たね、なんだい?そのテーシャッツって? 」
( ・・・ キャーッ!知らねえのですかい! )
もーうひどいひどいひどい!
なにさ!
オーマのひと!
*
最後に、
やはり目玉であるところの、
” まぐろ解体ショー ” も、
いちおう見ておかねばなるまいとおもって見たが、
二日酔いで具合が悪くて大勢のひとびとの後ろに甘んじたので、
まるでなんにも見えなかった
*
海は、白い三角波が死ぬほど沸き立っているし、
あんな海を、こんどは函館まで、
存続危機のフェリーで渡るのかとおもうと
もう心底落ち込んだ
そして、フェリー乗組み職員も、
じぶんの身が危機にさらされているというのに、
わたし以外誰も、
あのテーシャッツを、着ていない
*
ヨットJAZZ氏が偶然おなじ日にいらしたようだった
( テーシャッツは着てませんだろう )
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