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ツイテマス
函館に
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例によって、
わたしのマザー・ロード、東北自動車道を
すべての車に追い抜かれ尽くして
ジムニー ( 可哀想なロバ時速80km ) は
なぜかいつになく順調に走ってくれて、
クーラントの針もレッド・ゾーン入りすることなく
いつものように
おおよそ全部のサービスエリアにピット入りして
ラジエータを冷ましながら、
いつもよりは調子イイような気がするから今回は
早く着いちまうのじゃないかな?
なあーんて懸念したワリには、
いつもとおなじ、
出発してからちょうど24時間後に函館港に着いた
( 内、ラスト4時間は青函フェリーの中だ )
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じつのところ
わたしは函館にいるのも東京にいるのも
厳密にいうならどちらも好きじゃない
わたしが好きなのは、やはり途上だから
途上は長ければ長いほどいい
その証拠に、
こんなに頻繁に行き来しているとはいえ、いつも、
函館に着いてからも、
反対に東京に着いてからも、
かならずしばらくの間、ガッカリする
ガッカリしてすぐには馴染まない
いいえ、
近づくにつれてすでにして、ガッカリしつつある
東京 - 青森間が
たった700kmしかないというのは
なかなか生殺しのようでツマラナイものだとおもう
ルート66か、シベリア鉄道みたいに
発狂しそうなほどに延々とつづく途上がわたしは好きだ
東北道が仮りに
東京から青森を経由して函館に渡り、
さらにサハリンまで続いているとしたらわたしは!!
喜んでサハリンまで走るだろうとおもう
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エリントンのテープを回しながらゴキゲンに、、、
といいたいところだが
車のすきま風がはなはだしいのと
ハイ・スピードによる無理っぽいエンジン音に加えて、
ターボのヒュインヒュインいう音の激しいのと
サスの効かない足回りのガタピシ音と
積みすぎの荷物が振動にいちいち恐ろしい音を立てるのとで
ハッキリ云って音楽はほとんど聴こえない、
否、聴こえないならまだマシ、
いろんな音がかき消されている結果、
音楽になっていない不協和音か、
怪しいラップ音現象みたいになってしまうので、
ものすごく気分が悪いほどだ
とはいえ、回っているのはエリントン、
そうは聴こえないだけだ
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過積載によってコクピットのごとく狭い車内は
寝るにしたって運転席しか空間がなく、
しかもシートは倒れないので直角のままだ
いつものように
身体を 「 つ 」 の字にしたり
「 し 」 の字にしたり
ステアリングを抱いてみたり
窓から足を出してみたり、頭を出してみたりしながら
数分ずつムリヤリに仮眠を取り、あるいは
エコノミー症候群にならないように
エリア内をジョギングしたりスキップしたり
階段を1段飛ばしで何度も往復したり
ストレッチしたりして
北上するサービスエリアごとに身体がだんだん
北へ向かう空気に馴染んでゆく
スゴク自由なかんじがする、
『 飽くまでも自由、途上にある限りは!! 』
温泉に浸かり、高級タンパク質が食べたいので、
着いて早々にセカンド・ファミリーの店へ
レア焼きのシャトー・ブリアンを求めて走る途中、
ガソリンスタンドへ寄り、
偉そうに 「 10リッター! 」 なんて云ってボケッとしていると
「 ゲッ!オーーーイ!!サチヨじゃねえか?
お前また何かヤリに来ちゃった? 」
と、人聞きの悪いことを叫ぶ、他の車があった
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ところで
ピアノのロケット・マツ氏
別のツアーが入ってしまったので
こちらのキャバレー企画の仮ブッキングが解除となった
マッちゃんみたいに
すてきにデカダンスなサウンドをやるピアニスト、
また探さなくちゃ