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夜になってあっちのほうへ行った。
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手ぶらも、なんだから、
ジュンの作ったキャンドルを積んで。
ジュンはじぶんのキャンドルを世界中で点す。
戦争をやめよう。
無理でもなんでも、キャンドルの周りに集まって
おなじ火の灯りを見ているあいだ、ひとは、静かで平和だ。
その線を、つなげて。
- その線を、つなげて。
わたしも、この街で。
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キュッ キュッ キュッ キュッ キュッ。
グツ グツ グツ グツ グツ。
キュン キュン キュン キュン キュン。
雪を踏むおと。 - 9℃ 。
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寝静まったような、しんとした雪の町角に、
ポッと照明が漏れていて、
薪ストーヴの周囲で男たちが3人、くつろいでいるところ。
珈琲、とおもったけれど
ダッチオヴンからカレーが出てきたから、
じゃ生ビール。
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よう、俺たち、
きのう成人式やったんだぜ、ここで。
いやさ子供がよ、成人です親父、育ててくれてありがとう、
って来やがってな、ヒョー、なんか俺たちようやく大人になった!!
という実感が湧いたのよ、だから俺たちの!!成人式。
俺たちこそが、成人したわけよ。
照れるぜ、 な、いいだろ。
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「 むかし学校の先生がよ、蝋燭の炎のこと、
ずっと 【 ほのほ 】 って発音するんだよな。 」
「 いいじゃない?
かそけき感じの古音のまま。
でも確かに、もとは炎って一文字じゃなくて3文字だとおもうわ。 」
「 そういや稲穂の先に似てねえか? 」
そして店主が即座に
広辞苑を引っ張り出して調べてくれて曰く。
『 炎 ・ ほのお 【 火の穂 】 』 正解。
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ストーヴから甘い香りがする。芋だね?
- おお、飲め、備長炭湯で割ったんだ。
旨めぇべ。 やわらかく、なるんだ。甘いのが。もっと。
mm、甘し水!! 良き哉!!
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で、ねえ今年、ワカサギ釣り、どうする?
「 氷上の小屋と厨房、
作るかどうか明日相談するから待ってろ。あ手伝えよ。
でもな、去年みたいにしなくても、
徹底的に遊ばせてやるからよ。
ソリ。 ランプ。 ワカサギ。 酒。 メシ。 アラスカウェア。
ソレルのブーツ。 エトセトラ。 全部。 遊ぼうぜ。 」
【 遊 ぼ う ぜ 】